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九割九分九厘蛇足

あいうえお作文製造機 0.1%くらい役に立つことを書く(予定)

【書籍感想文】妖姫のおとむらい

妖姫のおとむらい(著 希 画 こずみっく ガガガ文庫)を読みました。

以下では、希氏、こずみっく氏ともに敬称略しています。

 

 


感想より先に、まず、希という人物について、私が把握している分、書くことにする。

 

希は、アダルトPCゲーム(所謂エロゲ)のシナリオライターだ。今作「妖姫のおとむらい」はラノベと言って良いが、普段はそういう職業に就いているという認識で良いと思われる。

この業界には変な人が多いと勝手に思っているのだが、しかし、それを考慮してなお、希は、そんじょそこらのシナリオライターとは違う。そう私は思っている。

 

まず、文体が独特だ。それに、難しい言葉や、古めかしい言葉がよく登場する。

しかし、一度その文体を受け入れてしまえば、そこには精緻で玲瓏な、美しい世界がどこまでも広がっていく。

そして、当たり前すぎて失礼かもしれないが、希は、言葉の意味を、深く理解した上で使っている。
希が「凄い」という言葉を、良い意味で使っているシーンを見たことがない。少なくとも私は見たことがない。
この人の作品に触れると、日本語というものに、きちんと向き合って、勉強し直そうと思ったり、文豪の作品を知ろうと思える。

 

実は、私は希がシナリオライターを務めた作品は、霞外籠逗留記しかやったことがないが、それだけで魅了されてしまった。

 

 


上記を書いてて思ったのだが、エロゲを知らない人は、エロゲライターと聞いて、そもそもどう思うだろう。
エロゲライターというだけで、何だか品位を落としそうとか思うのだろうか。
そんなことはなくて、素晴らしいシナリオを書く人が一定数いる。職業に貴賤はないのだ。

しかし、この業界も斜陽で、良いシナリオライターというのが枯渇している。正にこの作品もそうなのだが、ラノベに流れたりしている。
まぁ希の文章が読むことが出来れば、媒体は何でも良いかも...

 

 

 

 

ここから、本作についての感想。ネタバレちょっとあり。

 

まず、グルメを扱っていることに買ってから気が付いた。
希のように、実力のある人でも、近年の流行りを追わねばならんのは心苦しい。いや、まぁグルメがやりたかったのかもしれないが。そこは、本人に聞かない限り分からないことだ。
しかし、とにかく、希なら絶対面白いやろうと安心してしまうのも事実。


私は小食であり食には疎いが、ここに出てきた料理(というか食べ物?)は素直に食してみたいと思った。
あぁ、でも笠縫は食べたいとは思わないかなw
とか言ってて、実際に出くわしてしまったら、どうか分からないが...


食べ物の話になると必然的に酒の話にもなり、この作品も例に漏れないが、酒が欲しいという感覚が私にはよく分からない。
私は酒には結構強くて、ペースを間違えなければ割とずっと飲める方だが、胃の限界は早いので、そっちの方が先に音を上げる形だ。

下戸の人から見ると、贅沢な悩みかもしれない。

 

 

今作、希独特の文体は抑え目であったように思う。
本当の(?)希を知りたければ、Liar-softかその姉妹ブランドraiL-softの作品をやるのが良いのではないのだろうか。

とはいえ、今作でも、およそ一般小説でも出てこないような言葉が散見される。
宿痾、水漬く、法面、床几、藺草、などなど。い草を漢字で書いてあるのは初めて見たかも。

 

何れにしても、希の怪しくも美しい雰囲気を纏った話ばかりであった。

 

 

 

イラストについて

こずみっくによる、怪しい雰囲気が出ていて、良い。
特に表紙。
ちなみに、挿絵は各話の扉のみ。

 


どうでも良いけど、ガガガ文庫の作品初めて買ったが、カバー下がシンプルだ。

 

 

さらにどうでも良い話。
あまり関係ないが、難単語というか、厨二くさい言葉が知りたければ、ALI PROJECTの曲もおすすめ。
歌詞が厨二なわけだが、無論、曲も良いです。

あぁ、いつまでも厨二病。かかってから既に10年は経ったか。もっとだな。